また、良心的な中華料理屋さんの定食は、まるで市井の食医が私達のために組み立ててくれた養生食のようです。
旬のものを使い、その季節の客の弱点をフォローし、強みをサポートしてくれる、陰陽五行の知恵がつまったごちそうが並びます。
東アジアのお母さん達は、やはり、家族の五臓六腑の状態を把握して、ピッタリの食事を手早く作ってくれるそうですが、日本では、中国家庭料理レストランの料理人さん達が「街のお母さん」です。
よく行く中華屋さんで、一見落ち着いた地味な客を装いつつ、実のところその日のランチの見事さに、頭とこころの中と、もちろん胃袋も浮かれてハイになってしまいます。もちろん口には出さないものの、時にはスポーツの実況中継のように、又は、東洋医学講座の生徒さんや患者さんや友人達に教えてあげるときのように、そして、一人の客として、お店の人に感想を熱く語ってしまうときのように、こころのおしゃべりがもう止まりません。
ある日のランチでは、メインのおかずがカキと野菜の黒酢炒めでした。ちょっと黒酢の酢豚に似ています。
濃厚でほのかに甘い黒酢のたれがかかったカキを口に含みます。先に揚げてあったようで表面がカリっとしていて歯触りが楽しいです。かんだ瞬間磯の香りとジューシーな汁とクリーミーでやわらかい身が口の中で弾けます!!
書いていてまた食べたくなってしまいました。薬膳の記事だったのに、すっかりグルメレポートに。
楽しさと真剣な医学が分かち難く結合している薬膳は、本当に東洋医学ハイライフの真骨頂の一つです。(薬膳…恐ろしい子!!)
五臓で解説しますと、その日の定食はまず、
メインの調味料である黒酢で肝を強め、
メインの食材カキで肝と腎と心を強めます。
これだけではアンバランスです。五臓つまり、肝、心、脾、肺、腎、全てが調和しているのが理想です。脾と肺、そしてもう少し心の要素が欲しいところです。
そこに、
タマネギで肺を
ピーマンで心と腎と肝を強くします。
そして、
おいしいご飯で脾を強めます。
これでも、心と肺の要素はちょっと量が足りません。
そこで、お見事だったのは、うろ覚えで申し訳ないのですが、副菜が、肺を強くする白い食材でできていました。たしか、豆腐か大根だったと思います…
現在、書いた時点でこの店の平日ランチ定食には、なんとアイスコーヒーと杏仁豆腐がつくのです!! とてもお得ですし、心と肺の不足を補ってくれます。
コーヒーで心と肺を
杏仁で肺を
強くします。
これでパーフェクトです!!
肝と腎のスタミナ増強という主な目的は果たしつつ、残りの3つの臓も補填して、五臓六腑全てが調和し響き合う、ありがたい、ありがたい、献立の出来上りです!!
※ コーヒーのサービスはあくまでも店側のご厚意なので、今後は分かりません。そして、土日はなかったような…
※ また、杏仁豆腐はつかないメニューもあります。
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